日本の台所「豊洲市場」2018年築地から移転した豊洲市場には、水産約500社・青果約100社の仲卸会社が存在します。「良い仕入れ・良い業者」を紹介する本サイトでは、豊洲市場で熱い想いを持って働く会社様にインタビューを行っております。

 

第12弾はブリとカツオをメインに鮮魚を個人飲食店に卸す「株式会社ノジ喜代」です。今回お話をしてくださったのは、100年以上続く歴史を今まさに引き継ごうとしていらっしゃる山崎雄介専務。ノジ喜代さんで仕入れるメリットや、長く続く歴史だからこその裏側まで赤裸々にお話いただきました!

 


個々のカラーを引き出すことで出る「ノジ喜代」


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「ノジ喜代」さんの歴史をお教えください。

 

山崎氏(以下:山崎)

日本橋時代から100年以上続く歴史がありまして、現在私の父の代で5代目となります。元々の屋号は「ノジマ商店」で、私の曾祖父が「喜代松」という名前なのですが、”ノジマ商店で働く喜代松”が略されて「ノジ喜代」となった様なんです。

 

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なんだか略語のようで現代的ですね!専務はおいくつの時に業界入りされたんですか?

 

山崎

23歳くらいの頃に他の仲卸に3年ほどいました、その後「ノジ喜代」入りました。自分自身でも他の卸を見てみたいと考え、父もその意思に賛成してくれました。修行の期間は大変でしたが、今思うと本当に良い経験でした。

若いとまだまだ未熟ですし、いつかは通らないといけない通過点を自分の店ではない場所で経験出来たのは、本当に自分に大きな力になっています。もちろんノジ喜代に戻ってからはまた違う大変さはありましたけどね(笑)当時は従業員の入れ替わりが多かったりしたので、苦労はしました。マネジメントの方法で試行錯誤しましたが、自分も沢山失敗したからこそ、従業員の失敗はあって当然なんだと思えるようになりました。

また、私が経験して行きついた「自分論」みたいなものは伝えない様にしてます、人間みんなそうですが、自分で経験してみないと分からないですからね。結果、現在は個々のカラーがしっかり出せる環境にあります。私自身のカラーも周りのスタッフに生かさせていただいていると思っています。


適正な魚を適量で提供する


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それが「ノジ喜代」カラーですね!ちなみに、ブリやカツオをメインに鮮魚に強いとのことですが、取引先はどのような所なのでしょうか?

 

山崎

スーパーやチェーン店ではなく、席数で言うと30席位の個人の飲食店先に卸しております。適性の魚を適量で提供していくスタイルです。業態はお寿司屋さんと居酒屋さんでちょうど半々くらいですかね。個人でやっていらっしゃる町の魚屋さんもいます。

 

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弊社も8坪ほどの居酒屋を経営しているのですが、そのような小さな店舗でもノジ喜代さん求めて注文できる環境があるということですね!

 

山崎

おっしゃる通りです!現在取引のある店舗さんの単価も様々で幅はとっても広いです。量なども調整はできるので、個人店さんだからこそうちで購入するメリットはあると思います。


大切なのは「正直になること」


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築地の頃から常に店頭にスタッフさんやお客さんが多くがいる印象にありましたよね!

 

山崎

ありがとうございます!お客さんはお店で大変な思いをされていらっしゃると思うので、買いに来てくださった時は気持ちよく向かい入れる様に心がけてます。そして目利きの効いた魚を適量で獲得できれば、オーナーさんも嬉しいですもんね。

 

FC

山崎専務が思う目利きって一言でいうと、どんなことですか?

山崎

はい、私はそこに関してはとても自信をもっています!・・・ですので一言でいうのは難しいですね、本当の魚の価値をどれだけ見極めるかではないでしょうか。最近数字が全てデジタルになっていて、ブリ1つとっても値段の情報が筒抜けですよね。実際の魚の価値は全然違うのになぁ。と思うことは多いです。

適正な魚に価値をつけることが仲卸の役目ですが、そこを突き詰める為には「正直になること」だと思います。利益を出すことは大切ですが、その気持ちが大きくなってしまうと、本来の仲卸の役目がブレてしまうと思っています。正々堂々やる事で魚の価値の辻褄は合って来ます。だからこそ、仕入れも真剣・販売するのも真剣なんです!

 

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「正直になること」が個人飲食店さんにとっては安心に繋がりますよね。新規のお客様はどの様な注文方法が多いのでしょうか?

 

山崎

拾い買いなどしている方々が、店前を通りすがる時が多いですね。今は豊洲の中でもど真ん中に店舗があるので、人通りは築地の頃より増えています。だからこそ入りやすい雰囲気づくりを意識しています。どんどん話かけてしまうかもしれませんね。そこで生まれる会話から、お客さんが求めていることが分かったりしますもんね。

 


臨機応変に変化できる力


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その会話作りを1日中やっていらっしゃると思うと・・・凄いです。山崎さんのやりがいはなんでしょうか。

 

山崎

来ていただいたお客さんに魚のことでも人のことでも、どんな小さなことでも喜んでもらえるようにしています。なので、自分の思ったより出来なかった時はとっても落ち込みながら帰りますし、良かったときはとってもテンション上がります。それが達成感でもあり、やりがいです。

 

FC

そのような相対ある接客は築地から豊洲に移転しても変わらないスタイルかと思いますが、100年歴史で引き継いでいらっしゃるものはございますか?

 

山崎

正直・・・ないんです。そこには理由があって、祖父も父も私もタイプが結構違うんですよね。実は最初は鮮魚を扱っており、その後が干物、冷凍物、さらに途中でマグロもやって、また鮮魚に戻った感じなんです。歴史は長いんですが、時代によって色々なものにチャレンジしているんです。

 

FC

えぇ!そんなに変化があったんですか!?

 

山崎

そうなんです(笑)叔父が行っていた冷凍物に関しては、築地時代の先駆者だったようで、かなり勢いがあったようなんです。それぞれの変化が大きいからこそ代々受け継いでるものというのがなく、「今」を大切に、常に変化していける会社なんです。

 


仲卸のあるべき姿


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そういう事だったのですね・・・!納得出来ました。最後に恒例の質問なんですが、山崎さんにとって仲卸ってどんな職業でしょうか?

 

山崎

どの業種もそうですが、我々でいうと「漁師=荷受け=仲卸=お客さん」と全て繋がっていると思うんですよね。仲卸は、この【橋渡し】が出来ることだと思います。

私としては、先ほどもお伝えしたような「正直になること」が、ブレない仲卸のあるべき姿だと思いますし、それを絶えないようにしたいです。

 

FC

商売ある限り「正直になること」って当たり前のようで難しいですよね。そんなノジ喜代さんの貴重なお話、ありがとうございました!

 


会社情報


会社名:株式会社 ノジ喜代

住所:〒135-0061 東京都江東区豊洲6-5-1

 

【取り扱い商品】

■鮮魚

ブリ、カツオなど

※商品の詳細は店舗にご来店・お問い合わせください。