日本の台所「豊洲市場」

2018年築地から移転した豊洲市場には、水産約500社・青果約100社の仲卸会社が存在します。「良い仕入れ・良い業者」を紹介する本サイトでは、豊洲市場で熱い想いを持って働く社長様にインタビューを行っております。

 

第15 弾は、平成9年に会社を設立し、冷凍マグロ・生マグロと両方取り扱う「松林水産」の代表取締役社長、松林康允さんです。お客様の立場に立つことで、信頼性を培うと語る社長はなんと29歳で代表に抜擢。当時は若くして社長になり、周りからのプレッシャーもあったという。豊洲市場の中でもマグロを取り扱う会社は1番多い中で、松林水産が心がけていることとは?その真相に迫る!

 


同じマグロ屋はいない


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本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、松林水産さんは創業何年の会社様なのですか?

 

松林氏(以下:松林)

私の父が元々マグロ屋で働いており、そこから独立して今の看板を背負ったのは平成9年からです。独立したのは父ですが、最初から私が社長として運営しています。豊洲の中では比較的新しい会社ですし、社長になったのも私が29歳のころだったので、色々なプレッシャーがありましたね。

FC

市場で20代の社長はなかなか珍しいのではないのでしょうか・・・!

独立してから、どのような納め先とご契約されてらっしゃるのですか?

 

松林

元々は地方(新潟県など)の公設市場や寿司屋などに強かったです。父に付いていたお客さんから拡散していったんです。それから都内のスーパーなどにも販路を拡大しました。海外はシンガポールのリッツカールトンなどにも届けております。

 

FC

そうだったんですね!松林さんはどんな種類のマグロを取り扱うのですか?

 

松林

弊社は冷凍マグロ、生マグロ(天然のメバチマグロ)と両方取り扱います。良い質の物を置いている質飯店のようなスーパーには、生のマグロを卸しております。ショッピングセンターに入ってるスーパーなど、価格の安さをウリにしている所もありますが、やはり私たちが提供できるのは、質の良いものを適正な価格で提供することです。

 

FC

そんな松林水産さんが選ぶ「質」はどのようなものですか?

 

松林

そうですね、弊社の両隣も同じマグロ屋さんですが、選ぶマグロは全然違います。それはやはり、お客様の好みが違うからであり、1社1社が持つ強みが違うんですよね。弊社の場合は「新しさ」と「油のノリ」とが上手く先方の求める値段と合うかどうか。油のノリといっても、ネットリしてるのを好むお客様や、色味が良くあっさりしているのを好む方もいますので、どちらが良いというわけではなく、いかに先方が求める物を提供出来るかだと思います。

 


仲卸とは、お医者さん


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同じマグロ屋さんでもここまで大きく違うと、仕入れをする人はどのようにしたら良いのでしょうか?

 

松林

電話やFAX、最近はLINEなどでやり取りをしたりもしますが、先ずは市場に来て、実際に見て、仲卸と話してみることだと思いますよ。例えばスーパーさんや、学校・老人ホームなどにいらっしゃる栄養士さんなど、仕入れに関して詳しくない方でも、我々はお客さんの好みや予算を聞いて、その中で魚を選んでくることが出来ます。そこから安心した関係性を始めることができるかと思いますね。

 

FC

相談出来るのが市場の良さですよね!そんな松林さんにとって、「仲卸」ってどんな職業ですか?

 

松林

『マグロのお医者さん』ですかね。

 

FC

お医者さんですか!ぜひ詳しく教えてください!

 

松林

時代が変わるにつれ、より丁寧に丁寧に取り扱わないと、お客さんも満足していただけなくなってきました。しかし、我々が卸したマグロは、100%全て販売出来るものがそこまで多くないんです。切ってみたらシミがあったり、割れていたり。いかにロスを少なくして、お客さんの求める物を提供出来るか、そこにはお医者さんのような鋭い目を持つメキキが必要です。お客さんの立場に立って、お客さんがどう思ってるのかなって考えながらこの市場で作業しています。

 


天然のメバチマグロ


FC

なるほど、取引先が求める物を競る唯一無二の存在ですね!先ほど、生のマグロはメバチマグロを取り扱っているお話をしていただきましたが、本マグロなどと何が違うのでしょうか。

 

松林

本マグロは、一般的に有名ですし、トロミがあって美味しいですが、今では養殖も多く出回っています。どのマグロもそうですが、やはり季節によって旬なものもありますので、通年で本マグロが1番!というわけではないのです。

一方で、私たちは天然のメバチマグロを取り扱っていて、あっさりしております。時期的にはちょうどこれからが旬なので、是非食べてみてほしいですね!

 

FC

食欲の秋ですし、マグロを堪能したくなりますね!

今後、会社として松林さんが守り抜いていきたいものはありますか?

 

松林

シンプルですが、「正直さ」ですね。先ほども申し上げましたが、お客さんの立場に立って考えることは守っていきたいです。

 

FC

そこがお客様と長く取引をする上で根本的に大切な真の部分になってきますね!本日は貴重なお話ありがとうございました!