日本の台所「豊洲市場」2018年築地から移転した豊洲市場には、水産約500社・青果約100社の仲卸会社が存在します。「良い仕入れ・良い業者」を紹介する本サイトでは、豊洲市場で熱い想いを持って働く会社様にインタビューを行っております。

 

第20弾は日本橋から続き、20年前から三代目として経営される「有限会社 越一」の佐野代表取締役にインタビューしました。

お母様が飲食店を営んでいたこともあり、一度はコックの道を目指そうと思ったことがあるとか。お父様から代を継がれたのはひょんなタイミングだったと笑いながら話す社長は、市場と共に育ち、次世代に繋ぐ重要な役割をしていると話します。

近海魚を主力として取り扱う「越一」と取引をするメリットとは?!


書類ミスから生まれた社長の座?!


FC

本日はお時間いただき、ありがとうございます。

早速ですが、越一さんの歴史を教えてください!

 

佐野代表取締役社長(以下:佐野)

私の祖父が始めたこの会社は日本橋時代からあります。自分が3代目に就任したのが今から20年くらい前になります。

 

FC

とても長い年月ですが、3代目を任された時は、どのようなお気持ちだったのでしょうか?

 

佐野

実はそれが、ひょんなタイミングだったんです。当時、父が経営をしてた時に、私を役員登録しようと組合に手続きをお願いしたんですが、行き違いが生まれて、役員ではなく社長として登録してたんですよ!なので、気が付いた時には世代交代してました(笑)

 

FC

えぇ!そんなことがあるんですか?!初めて聞きました(笑)

 

佐野

後にも先にもないかもしれませんね。ゆくゆくは私が代を継ぐつもりだったので、タイミングが少し早くなったということですね。

 

FC

確かにそうですね。社長は何歳の時に市場に入られたんですか?

 

佐野

正確には大学卒業してからですが、小さいここから週末は市場にいたり、大学生時代は授業の前に来て手伝いをしていたりしてました。

 

FC

物心ついた時には市場にいらっしゃったんですね。越一さんの取り扱っている商品について教えてください。

 

佐野

弊社は昔から近海物の専門店です。親父の代に働いていた従業員がのれん分けして、独立した人もかなりいた程、大きく商売をしていたんです。まあ、魚が取れる量が今と比べたら全然違うということもありますが、あじ・さば・するめいかなど、かなり大量に取り扱ってましたよ。


メリットは臨機応変な対応


FC

独立者が出てくるほどの会社様だったんですね!スゴイ。

取引先のお客様はどのような方たちですか?

 

佐野

昔は小売店ばかりでした。今は、数が減ってきたので、段々と飲食店が多くなってきました。寿司屋さん、居酒屋さん、割烹屋さんなど、チェーン店ではなく、個人店が多いです。

 

FC

“だんだんと”納め先が切り変わってきたタイミングはなんだったのでしょうか?

 

佐野

私の母親や姉が飲食店を経営してたんです。その横のつながりもあったと思います。

紹介してくれたお店のスタッフが独立したりして、続けて仕入れてくださるってことがほとんどです。

 

FC

紹介や、今までの延長で取引が始まることが多いとのことでしたが、越一さんを全く知らない新しく飲食店を始める様な方からお声がけがあるとすると、まず最初に何を聞くんでしょうか。

 

佐野

基本的に、質やロットもお客様の層によって柔軟に対応することが出来ます。実際に、安さだけを重視しているお客様より、質に重きを置いているお客さんが多いです。なので、どんなお店で、どんな物を取り扱いたいかってのを知るところから始まります。

 

FC

今取引があるお店さんが越一さんと取引をしているメリットってなんだと思われますか?

 

佐野

そうですね。あまり考えたこと無かったなあ。

配送などは他の会社もあるしな・・・。

しいて言うなら、『臨機応変な対応』かもしれません。

注文忘れてた!とか、言い忘れてた!みたいなことって、人間なのであると思うんですが、そう言ったのは柔軟に対応しますよ。

 

FC

そういったのを対応してくれるのも、社長のお人柄が出ていらっしゃいますね!

ちなみに、息子さんは次期に代を受け継ぐのでしょうか?!

 

佐野

そのつもりです。築地市場から豊洲に移転する際に、私が65歳だったので、息子が代を受け継ぐというので、それまでは会社を守らなきゃなと、継続することにしたんです。

コロナの前は、一緒に飲食店(お客様先)にご飯に食べに行ったりもしてました。


親世代から魚を知ってほしい


FC

なるほど、こうやって歴史は受け継がれるのですね!というか、社長、めちゃくちゃお若いです!

豊洲に移転した後、市場への客足に変化はありましたか?

 

佐野

嬉しいことに、今も昔も、全体の半分の方たちは市場に来ていただいてます。

実際に魚を見て、相対しながら選んで頂くのは、とても嬉しいです。

これは、市場全体に言えますが、周りのお店も魚を陳列していないと、お客さんが来なくなってしまうんです。なので、うちは昔からのスタンスとして、これからも店前でしっかり陳列して、お客さんが来やすい環境にしていきたいなという想いがあります。

 

FC

素人目線ですが、確かに魚が並んでると、市場の仲卸さんとしての活気が出てきますよね!

今日、魚離れなんかも言われてますが、豊洲市場の仲卸さんとしてどう思われますか?

 

佐野

魚離れ、というか、親の世代が魚を食べてないだけだと思います。

小さいころに毎年海外旅行でビーチに行く家族と、毎年国内でスキーに行く家族がいるように、常識や当たり前って、変わってきますよね。僕たち家族はスキー旅行派だったので、子供たちはスキーできますが、それが当たり前となってるんです。

なので、まずは魚に興味を持ってもらう、知ってもらう事が大切なんだと思います。

 

私たちが思ってる以上に魚を知らない人が多いのが現実だと思いますしね・・・。

 

FC

確かに、私ももっと勉強しなくてはならないです!

最後になりますが、社長にとって仲卸業とはどんな仕事ですか?

 

佐野

ずっと祖父と父親の背中を見ながら育ち、当たり前の様に居る場所、している業務なので、敢えて言葉に表す事ではないですよ(笑)

母親が飲食店をしていたこともあり、高校ではコックを目指してたんです。思い返せば、どちらにせよ、家業を継ぐという道でしたね。

今は、息子に継いでもらう為にもやり続けて行くのみですn

 

FC

息子さんへの愛も感じます!今後の発展も期待してます!