日本の台所「豊洲市場」2018年築地から移転した豊洲市場には、水産約500社・青果約100社の仲卸会社が存在します。「良い仕入れ・良い業者」を紹介する本サイトでは、豊洲市場で熱い想いを持って働く会社様にインタビューを行っております。

 

第17弾は、チェーン店から個人店までの寿司屋に寿司ダネを納める「有限会社山貞」の宮坂勉代表取締社長。日本橋時代から歴史があり、2代目での会社変更を経て約50年続く3代目の仲卸。魚はメーカー商品ではないので、他社との差別化をはかるのが難しいと語る宮坂社長が大切にしていることとは?!会社の過去から未来のお話まで、赤裸々に語って頂きました!


魚は“商品の差別化”が出来ないから難しい


 

FC

本日はよろしくお願いいたします。

余談なんですが、宮坂社長って、いつもとってもおしゃれですよね!

 

宮坂社長(以下:宮坂)

ありがとうございます。実は市場に入る前はアパレル業界にいたんですよ。

 

FC

ええ!他業態から市場に入られた方の話は何回か聞いていましたが、アパレル業界は初めて聞きました!

 

宮坂

そうですよね、なかなかいないと思います。私は大学卒業してすぐに市場に入ったわけではなく、一度就職しました。家業を継ぐ事は当時考えていなかったんです。仲卸業としての歴史は祖父から始まり、当時は伊勢海老専門店でした。その後昭和40年くらいに父親が独立して「山貞」の名前がついた歴史です。

 

FC

そうだったんですね!アパレル業と仲卸業って全然違う職業だと思うんですが、実際いかがですか?

 

宮坂

アパレルも仲卸も「商品を売る」ということに関しては根本的に同じだと思ってます。強いて言うのであれば、魚の方がシンプルです。アパレルは流行りがあるので毎年の業績はその時によって左右されます。更に納めたものを業者から返品されたり、時にはバーゲンなどの値引きもできますよね。一方、魚は旬はあれど、流行りや、返品・バーゲンなども基本的にはないですからね。

 

FC

確かにそうですね。しかし、シンプルとは言えど、販売にあたって何か大変なことってあるのではないですか?!

 

宮坂

そうだね、シンプルとは言ったものの、魚は”メーカー”ではないので、商品の差別化が出来ないんです。もちろん特別なものを取り扱ってる会社もあるけど、基本的には変わらないので、他との違いを出すのはとっても難しい。では、どこで他社との差別化を付けるかというと、サービスや接客、クレーム対応、商品設計などになってくるんです。他社と何か違うことをするというより、自分が出来ることをする。自分の色を出していくイメージです。


お店のファンを増やすことが大切


FC

まさに「人」ですね。社長の色が会社の色になりますもんね。

 

宮坂

そうですね、お客様が弊社のファンになってくれるような”ファンクラブ”を作っていく事が大切です。メンバーを増やしていくには、商品や値段ではなく、僕自身やスタッフの魅力を前面に出していくんです。そこが結果が差別化になり、お店のファンになってくれるんです。

 

FC

ファンを作るのって、そう簡単ではないと思うのですが、具体的に何かされたりしているのでしょうか?

 

宮坂

魚を多めに入れたりするのは簡単かもしれないけど、そういうことはやらないです。特別なことはせず、1人1人のお客様とお話することですね。あ、でも来てくださった方とはあまり魚の話をしないですよ(笑)最初に取引を始めるときに、先方が何を求めてるかってのは、豊洲の仲卸は皆感覚として持ってると思うんです。なのでそこにズレが無ければ、後は一緒に冗談が通じ合えるような関係性が、お互い一緒に仕事していて楽しいですもんね。


商品設計の背景


FC

そんなファンの方々が、山貞さんと取引をしていて、喜んでいただいているポイントってどんなところですか?

 

宮坂

対応力やスピードの速さだと思います。先方も連絡してきたからには、その情報がほしいから連絡しているわけですもんね。

 

FC

私もスピード感もって行かなければいけませんね・・・。

実際に納めている取引先は、どういった業種業態ですか?

 

宮坂

9割がお寿司屋さんで、チェーン店・個人店にも納めております。個人店は基本東京都ですが、北海道から、沖縄まで全国的に対応しております。会社の規模も様々なことから、ロットにも幅広く対応しておりまして、品種も様々です。

 

FC

品種など、幅広く取り扱っているご理由は何ででしょうか?

 

宮坂

目的の品種だけ買いに来たお客様も、種類があるのを見て興味を持って下さったりすることもあるんです。だからこそ、ボリュームゾーンの商品と打ち出しゾーンの商品のバランスを常に意識しております。それぞれ利幅は違うからこそ、利益になる商品ばかりでは店の質も下がってしましますからね。そこも喜んでもらえてる1つになります。

 

FC

なるほど。先ほどおっしゃっていた商品設計というのが、こういった所なんですね!

まさに寿司のプロフェッショナルですね!親身になって寄り添ってくれるんだろうなってとっても感じます。


仲卸とはサービス業


宮坂

ありがとうございます。僕もスタッフもそこは意識していますね。先ずは相談に乗りますし、その中で何が出来るのか一緒に考え、寄り添って行きたいです。

 

FC

そんな山貞さんの将来についてお伺いしたいのですが、今後新しい業種業態に挑戦したい!などのご意向はありますか?

 

宮坂

もちろんありますが、先ほどの話をもう一度言うと、もっともっとファンクラブの会員を増やして言って、「山貞から買いたい!」と思ってもらえるようにしていきたいですね。やっぱりファンって強いんです。

 

FC

確かに、その方が末永い取引に繋がりそうですもんね!

最後に・・・、宮坂社長にとって「仲卸業」とはどんな職業ですか?

 

宮坂

魚は作って売ることは出来ないので、なんといっても【サービス業】には変わりないですね。どれだけ自分たちを知ってもらった上で、信頼関係を築けるかだと思います。そのためにはスピードや対応など、最低限の事はしていかなくちゃいけないんですけどね!

 

FC

”売る商品”は違えど、人と人が関わる商売ですもんね!

 

宮坂

その通りです。芸能人と同じだと思います。どれだけファンがいるか、それに尽きると思います。お客様にどれだけのことが出来るかですね。

 

FC

魚はメーカーではないという根本的な所を忘れていたかもしれません。社長の人柄がお店にも出ており、それがお客様にも伝わっているんだなあと、ひしひしと感じました。まさに豊洲の芸能人ですね!貴重なお話頂き、ありがとうございました!

 

【会社情報】

会社名:有限会社 山貞

住所:〒135-0061 東京都江東区豊洲6-5-1

電話番号:03-6633-5609

 

【取り扱い商品】

■寿司ダネ

※商品の詳細は店舗にご来店・お問い合わせください。