日本の台所「豊洲市場」

2018年築地から移転した豊洲市場には、水産約500社・青果約100社の仲卸会社が存在します。「良い仕入れ・良い業者」を紹介する本サイトでは、豊洲市場で熱い想いを持って働く会社の社長様にインタビューを行っております。

今回は、生メバチ・冷凍メバチを中心に「こだわり」のマグロを取り扱う「有限会社泉寅」様の4代目社長・齋藤克彦様にお話を伺いました。お客様があって私たちがある。という想いのもと「使いやすさ」を求めているお客様のために赤字でもご提供をすることもあるという、齋藤様の熱い想いお聞かせ頂けました。

豊洲の男、齋藤克彦。その職人魂をレビューさせて頂きます。

 


仲卸は「接客業」です


 

豊洲泉寅

 

FC

今回はインタビューのお時間を頂き、ありがとうございます。泉寅さんがどのような仲卸さんなのかを色々とお聞かせ頂きたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。

齋藤氏(以下:斎藤)

はい、よろしくお願いいたします。

 

FC

まず泉寅さんの歴史からお伺いしたいのですが、創業はいつ頃になりますでしょうか?

齋藤

戦時中はクローズしてましたが、明治時代から続いております。確か明治28年とかその辺だと思います。長い歴史を持った会社ですが、先々代の社長が一番会社を盛り上げたと聞いております。

 

FC

明治時代から続いてるというと、市場の中でもそうとう古い歴史を持つ会社様ですね。

齋藤

そうなんですよ。いま同じ並びにある干物屋さんあるじゃないですか?そこのお店は、明治時代にお隣だったらしいんですよね。そこが市場の中でも1番古いと言われているので、ウチも長い歴史を持ちますよね。

 

FC

ちなみに齋藤さんは、市場に入るきっかけってどのような感じだったんですか?

齋藤

兄が2人いるのですが、小学校3年生の時に当時社長の父親に「みんなが市場やらないんだったら俺がやる!」って宣言したんですよね。当時は、兄弟でよく築地市場に行ってたのですが、兄2人はお客さんと接することが合わなかったんですかね。兄弟の中でも自分が一番築地市場にも行っていたので、父親からも市場魂を叩き込まれていましたね。

 

FC

小学校3年生で、継ぐことを宣言していたんですね。それは、凄いですね。ちなみに当時は築地市場に行ってどのようなことをしていたんですか?

齋藤

主にお手伝いですね。ただ昔から市場にいたので、大学生の時にはマグロ見て1日5~6本は売ってましたね。週末とかは10本くらい売ってたんじゃないかな。

 

FC

すごいですね。さすが、小さい時から培ってきた経験が出てますね。ちなみに、市場に入る前に社長がやられていたことって何かあったりしますか?

齋藤

店を継ぐ前は、他のお店に見習い修行も2年ほど行っておりましたが、その前にホテルの配膳のアルバイトをやっていました。

 

FC

配膳のアルバイトですか。それはなにか理由があるんですか?

齋藤

実は先代の社長は、マグロを買いに来るお客様との会話を嫌がっていたんですよね。まぁ、それも昔の仲卸っぽいのですが、やっぱりお客様と会話をしないと「お客様が何を求めているか」が分からないんですよね。ウチにわざわざ買いに来てくれるお客様ですからね。やっぱり話をして「どういうものが欲しいのか」を聞くこと。お客様に選択肢を持たせてあげることが必要だと思ったんですよね。

 

FC

たしかにそうですよね。

齋藤

はい。そんな考えの中で、接客の技術を身に付けたくてホテルの配膳のバイトを始めたんです。配膳って、お客様が何を求めているのか、どういうことを思っているのか。そこを常に考えていないといけないんですよね。ここで、お客様に対する「至れり尽くせり」を学びました。

FC

そういう想いを持ってアルバイトをするなんて…すごいですね。仲卸さんってよく市場内で修行するイメージがありますが、その前からすでに「接客の力を付ける」ための行動をしていたんですね。

齋藤

はい。仲卸は「接客業」ですからね。

 


最後、使い切った時に「このマグロ良かった」と思われたい


 

FC

いま泉寅さんが取り扱っている商品についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

齋藤

はい。ウチは、マグロを販売しておりますが、基本的にはマグロは全部取り扱っております。やってない商品は無いくらいです。その中でも強いのは、生・冷凍のメバチマグロです。

 

FC

そんなどの泉虎さんのマグロ、ような所に卸販売をしておりますか?

齋藤

高級系の仕出し屋さんとか、お弁当屋さんが多いですね。あとは、ホテルとか個人の料理屋さんとか…商品や品質にこだわりが強い取引先が多いかもしれません。

 

FC

こだわりを持たれているお客様が多いんですね。販売するに当たって、何か会社としての特徴はございますか?

齋藤

お客様は「使いやすさ」を求めていますからね。とにかく1番良いマグロを見つけること、仕入れることを心掛けております。マタギの心得に「顔の無い魚は釣ってはいけない」というものがあるんですよね。これは、特徴のない魚は仕入れてはいけないということに繋がるんですよ。やっぱり「特別感」を持ってお客様に提供したいですからね。安くて良いものを仕入れることはもちろん、お客様の心に残るものを販売しております。

 

FC

さすが、泉寅さんからも強いこだわりを感じますね。そのような「特別感」とか「品質」を作るために仕入れ以外でこだわっていることは何かあったりしますか?

齋藤

マグロを包む包装紙、そして梱包・箱詰めまで、すべてこだわりを持っております。包装紙に関しては、おそらく他の仲卸さんが使用していないようなものを使っていますし、梱包に関しては2kgの商品に対して5kgの氷を入れるとかは、当たり前に行っております。マグロってやっぱり高い商品じゃないですか?ちなみに本当に良いもの、高いものを買う時ってどこで買いますか?

 

FC

やっぱり専門店で購入しますよね。

齋藤

そうですよね。デパートとか専門店で買いますよね。そこの梱包が酷かったら、二度と買いに来ないですよね?

 

FC

仰る通りですね。二度と買わないです。

齋藤

そうですよね。高い商品は、やっぱり梱包が良いのは当たり前なんですよね。その梱包があって、求めるものがあって、それを開ける楽しみもあると思うんですよね。あとは、料理屋さんって色々と仕入れるじゃないですか?食材を仕込んでいく中で、マグロって最後に取り掛かる商品だと思っているんですよね。もちろんお客様が当日使わない場合もあると思います。だからこそ、そこを考慮しても「梱包が大切」だと思ってこだわっております。

FC

もの凄く分かりやすいです。

齋藤

価格ではなくて、価値観はそういうところで決まったりもしますからね。

 


本当に売りたいマグロを販売しています


 

 

FC

泉寅さんのマグロやお客様に対するこだわりをすごく感じました。ちなみに、齋藤さんが思う「仲卸」という職業は、どういうものだと思いますか?

齋藤

うーん…難しいですね。例えば、マグロって1本1本違うんですよね。それを選ぶ人も1人1人違うじゃないですか。僕らの職業って「その日の1番を見て買える」ことが重要だと思うんですよね。僕は、大きさとかだけではなくて、トータルで見て一番鮮度の良いマグロを買いたいんですよね。決して「たくさん売りたい」と思って販売をしているんじゃないんです。なので、たくさんのニーズに応えられる会社かというとそんなことも無いんですよね。この1本、この1番、本当に自分が売りたいマグロを売りたいんですよね。そんな仲卸を目指しております。

FC

泉寅さんのお客様に対する想いがとても伝わるお話でした。なんか僕自身が勉強になりました。本日はどうもありがとうございました。

 


会社情報


会社名:有限会社泉寅

住所:東京都江東区豊洲6-5-1(店番:8021~8022)

電話番号:03-5547-0133

【取り扱い商品】

■マグロ

生メバチ、冷凍メバチ、その他マグロ各種

※商品の詳細は店舗にご来店・お問い合わせください。