日本の台所「豊洲市場」

2018年築地から移転した豊洲市場には、水産約500社・青果約100社の仲卸会社が存在します。「良い仕入れ・良い業者」を紹介する本サイトでは、豊洲市場で熱い想いを持って働く会社の社長様にインタビューを行っております。

第8弾は、スーパーやホテルなどに安定した価格・品質の冷凍マグロを卸す「高洋」さんです。築地から豊洲に移転したことで、魚にとっては最高な環境になりました。そんな中でも、冷凍マグロを取り扱う石谷洋治郎社長は、どんな最高のマグロも、たった一瞬目を離すとダメになると語ります。エンドユーザーを想いながら取り扱う冷凍マグロは、誰もが「これは生では!?」と自分の舌を疑うそうです。普段は聞けないお話を沢山お伺いしました!


0から作り上げた会社


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高洋さんの歴史をお聞かせください。

 

石谷氏(以下:石谷)

26年前、私が33歳の頃に創業しました。創業する前は従業員として築地で働いていましが、やはり自分の看板で仕事がしたいという想いがあったんです。当時は下準備も出来ていなかったので、本当の0からスタートでした。最初は新規のお客さんが全くいなかったんですが、徐々に横の繋がりが広がっていきました。

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創業した時から今の商売スタイルをイメージされていたんですか?

 

石谷

18歳位の経験が大きいです、当時江戸川にあるスーパーに納めさせていただいてたんですが、そこのスタイルを勉強させていただきました。商売の基本といいますか、良いものを仕入れ適正価格で販売すればお店は繁盛する。そしてお客さんも喜んでくれるという、お手本を見せてくれたんですね。

色々なことをそこで学ばせてもらいました。私は商売人ではなかったので葛藤した時もありましたよ。稼ぐことは悪いこととも感じていたんですよね。商売の喜びを感じはじめたのは、エンドユーザーと接点を持ち始めたときです。「昨日の美味しかったよ」って言ってくれる、その言葉だけが嬉しいですよね。美味しいものは凄い力を持っているんです。

 

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0からお客様を獲得するのは難しと思いますが、どのような取り組みをされましたか?

 

石谷

1つは友達、仲間を大切にしていました。「二代目」などではないので、この世界に入った時は業界の友達が一人もいなかったんです。友達、仲間を大切にしていった結果、横の繋がりが段々と多くなり声をかけて下さるようになったんです。

 

お客さんの獲得とはまた違いますが、最近ブランドを開発しました。このような「天然」ステッカーを作って、これを貼ることでブランド性が出ますし、お客さんの反応も良いですね。今は養殖が当たり前になってきたので「天然マグロ」の天然って付くだけで、響きや魅力が違いますよね。

 


一度失った信頼は戻せない


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ステッカーは付加価値も付く良いアイディアですね!
そんな「高洋」さんの取り扱う冷凍マグロの強みはなんですか?

 

石谷

一つは、圧倒的な在庫量です。在庫は平均して4トン~5トンのストックがあります。この在庫量が、安定した供給と品質をお届けできる秘訣です。今日も明日も明後日も、同じクオリティーの商品を送るのはセリ場からだと難しいんです。値段の波もありますし。僕らは1度信頼を失ってしまうとダメなんです。どんなことしても良いものを送り続けないといけない。

二つ目は圧倒的な眼力ですね。今は取引先が求めているものがどんなものかを把握する技術は出来てきましたが、いくら我々が「これは最高のマグロです!」と言ったとしても、先方には好みがありますからね。そこをしっかり見極めて圧倒的な在庫の中から提案できるのが、我々の強みとなります。

 

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そんな石谷社長が選別するマグロの特徴はなんですか?

 

石谷

身質が良いことですね。多くの仲買さんは脂が乗っている物を好むのですが、当社の目利きの特徴は身の美味しさです。「本当に冷凍なの!?」「生マグロじゃないの!?」とびっくりされることが多いです。

皆さんイメージとして、冷凍物は溶かしたら水が出ちゃうなど、ネガティブに思われる方も多いんですが、生より圧倒的に冷凍物の方が新鮮で美味しいんですよ。仕入れに来る方は10を買う中で、3くらいはロスになるだろうとイメージされている方が多いですが、ウチのマグロは10仕入れたら10使えるのが大きな特徴です。もちろん溶かし方は大切なので、しっかりマグロを溶かせる人や処理出来る人が現場にいるのか、我々も相手の技術は見ますけどね。そしてやはりマグロも生き物ですので、シミや傷、寄生虫などがある場合はしっかり言って頂いてます。

 

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どのようなことに注意をして取り扱わなければいけないのですか?

 

石谷

そうですね、1番は愛情です。マグロは一瞬でも目を離してはいけないんです。たとえ良いものでも、気を許したら一瞬でダメになってしまうんです。

我々の環境で言うと、築地から豊洲に移って、温度調整から衛生面まで、商品にとっては最高の環境になりました。人間にとっても良い環境になりましたけどね(笑)


高洋が伝えたいこと


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「高洋」さんにとって豊洲市場ってどんなところですか?

 

石谷

色々な市場で仕入れしたことありますが、やっぱり豊洲の仕入れが一番です。他の市場は懐中電灯が使えないとか、身をほじっちゃダメとか色々なルールが多いんです。

荷受けさんはマグロ以外の鮮魚もそうですが、商品をよく見せようとされてるんですよね。なので、正直見ただけじゃ分からないんです。実際触って、体温で溶かしたりしながらして欲しいマグロと出会うんです。

 

FC

最後に、石谷社長にとって仲卸とは?

 

石谷

一言で言うと「選別」ですね、そして安定供給させるということです。もちろん「本物のマグロの美味しさ」は、今後も伝えていきたいことの1つですね。

 

FC

生のマグロとをも思われる、高洋さんのマグロが食べたくなりました・・・。本日はありがとうございました!

 

【会社情報】

会社名:高洋有限会社

住所:〒135-0061 東京都江東区豊洲6-5-1

電話番号:03-6633-5040

【取り扱い商品】

■冷凍マグロ

※商品の詳細は店舗にご来店・お問い合わせください。