日本の台所「豊洲市場」2018年築地から移転した豊洲市場には、水産約500社・青果約100社の仲卸会社が存在します。「良い仕入れ・良い業者」を紹介する本サイトでは、豊洲市場で熱い想いを持って働く会社様にインタビューを行っております。

 

第16弾は、産地や価格を幅広く並べ、取引先の要望に合うウニや活魚を取り扱う「カネ重」の店舗で常に先頭に立っておられる、泉澤さんにお話を伺いました。令和の時代を引き継ぐことになる泉澤さんは、SNSやECサイトを駆使して自社を発信し、お客様との会話を通じて、コミュニケーションを怠りません。

一言で「ウニ」といえど、産地や値段は様々。ベストな時期やタイミングを加味して、常に情報を発信されております。従業員の皆で涙ぐんだお客様の温かい言葉とは!?

 


お客様がお求めやすい価格で提供できるように


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本日はよろしくお願いいたします。

泉澤さんは次期三代目社長とお伺いしましたが、おいくつの時から市場の世界にはいられたんですか?

 

泉澤様(以下:泉澤)

よろしくお願いいたします。 市場に入ったのは33歳の時です。大学を卒業後、都内のフィットネスクラブでフロントスタッフとして働かせて頂きました。当時の会社に11年間お世話になり、上司や仲間からも背中を押され、4年前にカネ重へ入社しました。

 

FC

そうだったのですね!

インターネットでは、日本橋時代から始まる会社の歴史があると拝見したしました!

 

泉澤

そうですね、 先祖は浦安の百姓で、 浦安で採れる貝や海苔を舟で日本橋の市場まで運んでいたそうです。 以前は別の名前でしたが、1965年、祖父が「カネ重」を立ち上げ、 日本橋、築地、豊洲と長く商売を続けています。

FC

長い歴史がありますね。浦安のイメージだと、貝類が良く採れ、強みにしている仲買さんもいらっしゃると思うのですが、カネ重さんは通販サイトなどでもウニや活魚を取り扱ってますよね。最初から現在の商品を取り扱っていらっしゃったのですか?

 

泉澤

よくご存知ですね。当時の浦安は、 アサリ漁などで栄える漁師町でした。祖父の代は貝を中心に販売しており、祖母は子供のころから貝を剝きまくった為、今では貝を見るのも嫌と言っています(笑)

 

FC

そうだったんですね(笑)貝類中心から、どのタイミングで取り扱い商品を変えたのでしょうか?

 

泉澤

父や叔父が働き始めてからです。ウニを取り扱う寿司屋さんが増えたり、仲間の仲卸さんが活魚取り扱い始めて、自分たちもやってみようかと挑戦したようです。

お客様は主に寿司屋さんを中心とした飲食店です。築地時代からお世話になっているチェーンのお寿司屋さん、居酒屋さん、最近は洋食屋さんなども増えてきております。

 

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カネ重さんの強みであるウニや活魚。他の仲卸さんと違う特徴はございますか?

 

泉澤

そうですね。どちらも値段は高すぎず、お客様がお求めやすい価格で提供出来るような商品を取り揃えています。例えばウニの場合、1枚で数千円~数十万円するものまで、本当にピンからキリまで品物があります。その中から弊社は、お客様にお買い求めやすい価格帯や少し高価なブランドのウニを並べて、種類の違うものを並べて選べるように陳列しているんです。


「会話」から生まれる信頼


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先ほど教えてくださったカネ重さんの納め先ですが、業種業態が違えば先方が求めている価格も違いますよね。どのような方法ですり合わせていくのですか?

 

泉澤

なんといってもコミュニケーションの1つでもある「会話」ですね。先方の予算の中でベストなものを見極めています。先方の予算の価格と質のバランスが偏っているときは、お客様にも正直に伝えます。「高価なもの=良いもの」というわけではないですからね。このような積み重ねを経て、信頼して頂いております。

 

FC

それではカネ重さんが目利きをして商品を選ぶとき、どんなところをポイントにされていらっしゃるんですか?

 

泉澤

凄く難しい質問ですね(笑)魚によっても異なりますし、品種によっても選び方は変わってきます。ウニの話で言うと、粒の「形」「乾き」そして「色」から甘みを想像します。そしてウニにも旬の産地があるので、そこもポイントですね。

皆様、国産のウニは北海道産をイメージされる方は多いのではないでしょうか。しかし、一言「北海道」と言っても場所は様々で、季節によって美味しい場所のウニがあるんです。

さらに、ロシア産、カナダ産、ボストン産、メキシコ産など海外から豊洲に入荷されてるんです。

食べたことのない方は、心配される方もいらっしゃるんですが、輸入物でも時期によって、美味しいんです。先方の予算に合わせて、こんな商品もありますよ、という提案しますね。

 

FC

ウニの「産地」によっても幅が広くて奥が深いですね。

飲食店さん以外の納め先・販路の拡大はご検討されていらっしゃいますか?

 

泉澤

 扱っている商品は寿司ネタを多く取り揃えています。現在は飲食店以外にも一般の方や個人の方がご家庭でも楽しんでいただけるよう、ウェブでの販売を始めました。インスタグラムにも写真をアップしていますよ。(是非「♯カネ重」で検索を!)

 


コロナに負けず、始めたECサイト


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拝見しましたが、ウニ盛りだくさんですね!

 

泉澤

ありがとうございます!

築地の時は沢山の方が来場して市場に来てくださいましたが、豊洲への移転してから、フラッと市場に立ち寄る方は減りました。そんな状況だからこそ、自分たちから情報を発信して行こう!とインスタグラムを始めました。実際にインスタの情報を頼りにお店に来てくださったり、お問い合わせがあったりと、反響があり、そこからお取引が始まったケースもあります。

コロナの影響が本格的に始まって、豊洲市場全体が飲食店からの注文が思うように入りませんでした。どこも早くシャッターを閉めて帰っている中、こんな時だからこそ何かしなくちゃいけない!と思い、WEBの通販を始めました。

初めは試行錯誤でしたが、少しずつ注文が入るようになってきました。購入していただいたお客様から「コロナに負けずに頑張ってください。応援しております。」といったメッセージを頂いたときは、従業員みんなで本当に泣きそうになりましたね。

 

FC

そのお話聞いて、私も泣きそうです・・・。

仕入れを探している・見直したい!と考えてらっしゃる飲食店さん、更に魚が好きな一般の方にメッセージを下さい!

 

泉澤

仕入れに対して知識のない方や、初めての方に対しても優しい仲卸、会社でありたいと思っています。全ての商品を弊社で扱っているわけではないので、ご希望の商品がない場合もありますので、そんな時は他の仲卸さんを紹介することもできますし、1人でも多くの方に市場に来てほしいなと思っています。

そんな想いから、以前、お子様向けに市場への社会見学や魚の料理教室などイベントのお手伝いをしたことがありました。子供たちには市場が珍しく新鮮に感じてくれたようです。 仲卸業は日本の経済にとって無くてはならない存在だと思っています。これからも市場の魅力や魚の魅力を発信していきます!

 

FC

カネ重さんの人となりを感じることが出来ました!貴重なお話頂きありがとうございます!